取調べ録画のコワいところ

「相棒」の再放送で裁判員制度について触れている回をやっていた。
裁判員の方々が「被告人=犯人」と決めつけて評議している、という演出はかなり興味深かった。
「疑わしきは被告人の利益」が危険に晒される可能性が高いですね。
まぁ、従来の裁判制度だってそんな利益はないといっても過言じゃないかもしれませんが。
裁判官だって「被告人=犯人」と決めつけたりしてる方はいるかもしれませんものね。
確実に有罪になる事件だけを起訴する今の検察ってのもなかなか手強い。
なぜなら検察が有罪事件を持ってきて、裁判ではその量刑を決めるだけという流れになりやすいからである。
だからといって証拠不十分にもかかわらずとりあえず起訴、って考え方も困り者。
裁判費用もバカにならない上、被告人を無駄に拘束する危険性がある。
ニュートラルな視点から、お互いの弁論だけで判断する能力・・・難しいですね。


ところで最近取調べの録画が行われているらしい。
一件につき20分程度の録画だと。
録画するのであれば取調べ全てを録画するべきだと思っている。
編集は絶対にしないといっているが、何も積極的に編集なんかしなくても録画の場面を選ぶ事だってある意味で編集作業と同様の「改ざん」はできるだろう。
任意性を疑わせるような取調べの後、ビデオを回して自白させる、なんてことができるのではないか。
こんなやり方では検察側の立証が容易になるだけで、弁護側に有利になることはないのでは?
もちろん立証が容易になるのは良いことであるが、そもそも取り調べの可視化は被告人の保護の観点を大いに含んでいるものである。
ちゃんと全て録画して弁護側も取り調べの違法を指摘できるようにすべきである。
以前も言及したと思うが、中途半端な取調べの可視化は虚偽の自白に信用を持たせてしまう。
そしてその可能性がある限り、何をしようが自白の任意性を争う時間は短縮できない。
まぁ、今は途上段階にあるだろうし、これから様々な試行錯誤をして公正な裁判を実現していくことに期待しよう。