法律

過失認定と結果回避可能性

杏林大学病院で、医師が男の子の喉に刺さっていた割り箸に気づかなかった、という事件がありました。 刑事裁判では「過失はあるけど、気づいたとしても助からなかったので無罪」という判決を下しました。(一審)「えっ、過失があるのなら業務上過失致死罪じ…

取調べ録画のコワいところ

「相棒」の再放送で裁判員制度について触れている回をやっていた。裁判員の方々が「被告人=犯人」と決めつけて評議している、という演出はかなり興味深かった。「疑わしきは被告人の利益」が危険に晒される可能性が高いですね。まぁ、従来の裁判制度だって…

「法律の穴」に対する誤解

法律には穴がある。 こんな言葉をたまに聞きます。 結論から言えば、穴はあります。 でもそれは法律を勉強していない人にはとてもわかりにくい穴ですので、安易に抜けようとしない方が良いです。 どういうことかと言うと・・・ つまり、「法律に書いてない」…

小女子と実行行為

kentultra1の日記http://d.hatena.ne.jp/kentultra1/20080929/1222719625さんのブログを読ませていただいた。 ちょっと反省したので再考。 被告人(いや、もう犯人か)は確かに刑法上の威力業務妨害罪の構成要件に該当する行為をしている。 冗談とはいえ、不…

裁判の方式について

最近友人から法律の相談を受けることが何度かありました。 そこで思ったこと、みんな裁判の方式について知らないのです。 損害賠償と罰金と懲役がゴチャゴチャなんです。 モチロン知らなくて当たり前といえば当たり前、知ってる方が変なんでしょうが、知って…

大人の階段は何段?

民法上の成人年齢を20歳から18歳に引き下げるという案について反対が約80%とな。 反対の主な理由 「経済的に依存している」 「法的な考え方が身についていない」(反対解釈による) 「消費者問題、金融に関する知識がない」(これも反対解釈による) なん…

婚姻規定と貞操義務

ここ何年かで話題に上がったりしている、いわゆる離婚後300日問題。wikipedia:離婚後300日問題 そして再婚禁止期間(民法733条)の問題。 も一つ嫡出推定(民法772条)。 全て親子関係を規定する条文だ。 現代の技術ならDNA鑑定するなりで誰の子どもかなんて…

轢き逃げと殺人

轢き逃げが殺人罪になることがあるんです。 何年か前だったが、車で轢いた人がそのまま被害者を森まで連れて行って遺棄した事件。 あれはまさに殺人罪に該当しうる事件ですね。 刑法上の殺人には、積極的に人を殺めるものと消極的に殺めるものの二種類が想定…

名誉毀損とマスコミ

植草元教授が名誉を毀損されたとして講談社に損害賠償が命じられたらしい。 今日はこの名誉毀損について考えてみた。 名誉毀損というのは刑法上の名前で、民法で言うと不法行為(民709条、710条)にあたるものである。まぁ一まとめにして論じよう。 まず見て…

ヤミ金融事件と賠償請求。

ヤミ金からお金を借りた人は場合によっては借りた金も返さなくていいらしい。 「借りといて返さないなんてズルい」なんて思ってはいけない。 今回の事件では利息が年数百〜数千%という、なんともおかしな金貸しである。 お金がない人間の弱みに付け込んで高…

婚外子国籍訴訟最高裁判決について考える。

母親が外国人であり、両親が婚姻関係にある場合、父(日本人)の認知があるときは子は日本国籍を取得できる一方、婚姻関係のない場合に父(日本人)が認知しても子は日本国籍を取得できないという国籍法第3条1項の規定が憲法14条1項の「平等原則」に反するか…