裁判の方式について

最近友人から法律の相談を受けることが何度かありました。
そこで思ったこと、みんな裁判の方式について知らないのです。
損害賠償と罰金と懲役がゴチャゴチャなんです。
モチロン知らなくて当たり前といえば当たり前、知ってる方が変なんでしょうが、知っておいた方が良いと思うのでホント簡単に記します。


まず、法律は6つだけじゃない!
これは知ってますか、すいません。
でも「六法全書」なんていうから、「法律って6つだけ」って思っちゃいませんか?
昔、僕はなんとなくそう思ってましたw
実際日本の法律はたしか・・・条約、条例なども含めるとですが、7000以上あるなんて聞いたことがあります。(国家公務員法地方公務員法地方自治法、国会法、内閣法、裁判所法etc...)
六法とは全ての法律の考え方の基本となるものなんです。だから法律学としては六法を中心に勉強します。


では本題。
裁判のやり方って、大きく分けると2種類あります。
民事裁判と刑事裁判です。


民事裁判は個人or団体(原告)が個人or団体(被告)を訴えるものです。(以下「個人or団体」は「個人」と称します)
刑事裁判は国家(検察)が個人or団体(被告人)を訴えるものです。


民事裁判は個人が個人に何かを請求するものですから、「〜をよこせ」「〜の損害を賠償しろ」「〜は私の物だ」という、個人に直接利害のある事柄について争います。(どっちかが得することについて争います)
対して刑事裁判は国家が個人を糾弾するものです。(経済的利益は関係ありません)
個人、国家、社会に良からぬことをしたモノに対して罰(罰金刑、懲役刑など)を与えるために争います。


損害賠償は民事裁判のテリトリーなので個人から個人に支払われます。
罰金は国家が個人を罰する手段としてのモノなので個人から国家に支払われます。


例をあげます。
「AがBの夫であるCを殺した。」
この場合、Cの妻であるBがAを訴えるには、民事裁判の手続きをとります。
そして「不法行為(民709条)」を根拠に損害賠償を請求します。
国家がAを訴えるときは刑事裁判の手続きをとります。
そして「殺人罪(刑199条)」を根拠に刑罰を求めます。
このように一つの出来事について2種類の裁判方式をとるのです。


ではもう一つ例を。
「AがBを騙して高価な壷を1000円で譲ってもらった。」
この場合はどうなるでしょう。


民事裁判なら、「詐欺(民96条)」を根拠にBがAに対して「壷を返せ」と請求します。
刑事裁判なら、「詐欺罪(刑246条)」を根拠に国家がAに対して刑罰を求めます。


何度も言いますが、個人が訴えるなら民事裁判、国家が訴えるなら刑事裁判ということです。
(ちなみに「個人→国家」は民事裁判です。個人が訴えてますから。)


最後に。
刑事裁判だけでは、被害者に経済的利益はありません。金銭的に補償してもらいたかったら民事裁判手続きをとりましょう。
そして刑事裁判で訴えられなくても民事裁判手続きをとられることはあります。「この程度の軽い罪なら警察も動かないだろう」なんて思っていると個人から損害賠償請求をされるかもしれないので気をつけて!