ヤミ金融事件と賠償請求。

ヤミ金からお金を借りた人は場合によっては借りた金も返さなくていいらしい。


「借りといて返さないなんてズルい」なんて思ってはいけない。
今回の事件では利息が年数百〜数千%という、なんともおかしな金貸しである。
お金がない人間の弱みに付け込んで高利も高利で金を貸すなどということは社会秩序に著しく反する。


民法の大原則に「公序良俗に反する行為は無効である」というものがあるが、まさにこのような消費貸借契約は公序良俗に反する。


しかし、無効というのは、意思表示の無効であり消費貸借契約の無効なのであって、お金を返さなくてもいいということではない。
利息については発生原因から消滅するため払わなくても良いにしろ、元本については不当領得の関係にあるのだから、返さなくてはならないのが原則である。


また、このようなヤミ金に対する制裁としては行政による指導や制裁、警察機関の罰則による取り締まりで対応するのが一般的であろう。
なぜなら民事事件はあくまでも「当事者の公平」に基づいて判断するものであり、生活範囲を異にするため、取締りには適さないからである。


だが今回の事件では民事事件でヤミ金に対する制裁を与えたカタチになった。
公序良俗違反が甚だしい場合には損害賠償額から元本を差し引く必要がないということは、いわば
「そんなことしたら、一銭も儲けさせないよ!」
という罰にとれる。


現実問題として、借金苦により自殺を図る人がいる、家族親戚にまでひどい迷惑がかかる、という事態について早急な対応が必要だったのだろう。


う〜ん、若干民事的制裁の域を超えた判決に思える。
民事事件、刑事事件の境界は難しい。